サウナでの宿泊(東莞市の場合)&出入国管理法の改正

みなさんがよくブログなどで書いている「サウナでの宿泊」を、東莞・常平のサウナで初めて経験しました。

常平のホテル併設のサウナでは、11時過ぎに入るとそのままサウナの個室に泊まることができる。もちろん、ことが終わった後は一人で泊まるわけですが。
サウナの部屋はホテルの客室に似たつくりで、テレビもあるし、飲水機がおいてあるところもある。外出できないのが難点だが、簡単な食料とビールでも持参すれば翌朝まで快適に過ごせる。


「住宿登記はどうなる?」

ところで、サウナに泊まるとなったら、
「住宿登記はどうなるんだろう?」
という疑問が。

中国では匿名や偽名でホテルに宿泊することはできない。
チェックインの際に身分証明書を提示して、氏名や身分証番号を記録する。スキャナーで顔写真もスキャンされる。こうして集めた個人データは公安局(警察)に送られる。

今では、多くのホテルで、フロントに置かれた端末が公安局のコンピュータとオンラインで結ばれている。身分証に内蔵されたICチップのデジタルデータを直接読み取って、リアルタイムで公安局に身分照会する仕組みが出来上がっている。
当局(警察)は、誰がいつどのホテルの何号室に泊まったか、過去数年間にわたって把握している。

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身分証読取機


もしかして、サウナの個室を宿泊場所として登記するんだろうか・・・で、その情報が警察のデータベースに保存される・・・どうも気が進まない。
電話予約の際に尋ねてみた。
「お宅のサウナの個室に泊まりたいんだけど、住宿登記しなくちゃいけないの?」
「しなくていいよ」
よかった。

しかし、ほんとにそれで問題ないんだろうか?
一応、関係諸規定を調べてみました。


関係規定

上海にある日本人もよく利用する有名な大規模SPAでは、個室もないのに、公安局からの要請で、深夜12時を過ぎて滞在する客には住宿登記を要求している。
調べてみたら、北京市、上海市、南京市、福建省などでは、地方政府が制定した条例があって、サウナやスパに宿泊する場合でも宿泊登記が必要と定められている。

広東省では、サウナの住宿登記に関する省レベルの規定はない。が、省都の広州市では、2008年に市の公安局からサウナ営業に関する通達が出ている。この通達に、深夜1時から朝8時の間にサウナに滞在する場合は住宿登記をしなさいと書いてある(→ 关于规范桑拿按摩服务场所经营管理工作的通告)。

しかし、常平鎮を含む東莞市では、この種の通知は出されていない。したがって、常平(東莞)のサウナに宿泊する場合は、住宿登記は不要ということになるよう。


外国人の住居届出義務 (外国人臨時住宿登記)

しかし、我々外国人には、本国人(中国人)とは違って、更なる規則がある。

外国人は、上に書いた「住宿登記」のほかに、出入国管理法に従って宿泊地の届出をする義務がある(外国人臨時住宿登記)。外国人は、中国に滞在している期間中、滞在場所がホテルであろうと、賃貸マンションであろうと、一般民家(友人宅など)であろうと、公安局に届け出なければならない。
ホテルに宿泊する場合はホテル側でやってくれるので客が意識することはないけれど、ちゃんとホテルから公安局に届け出がされている。

このあたりのことを定めているのが、「外国人入出国管理法実施細則」という政令。
この「実施細則」の第29条に、
「賓館、飯館、旅店、招待所、学校等の企業、事業単位または機関、団体、およびその他の中国の機構内に宿泊する場合」
には、外国人臨時住居登記をしなければならないと書いてある。

第二十九条 外国人在宾馆、饭店、旅店、招待所、学校等企业、事业单位或者机关、团体及其他中国机构内住宿,应当出示有效护照或者居留证件,并填写临时住宿登记表。在非开放地区住宿还要出示旅行证。

第三十条 外国人在中国居民家中住宿,在城镇的,须于抵达后24小时内,由留宿人或者本人持住宿人的护照、证件和留宿人的户口簿到当地公安机关申报,填写临时住宿登记表;在农村的,须于72小时内向当地派出所或者户籍办公室申报。



「賓館・・・学校等」(29条)というのは文脈からして例示だろうから、宿泊設備があるサウナに宿泊する場合も、同様に「外国人臨時住宿登記」が必要でしょう。
やっぱり、登記をしないと法律違反になるんでしょうね。

が、そうはいっても、そもそも常平のサウナには「外国人臨時住宿登記」の用紙は置いてないのだから、チェックイン時に登記をしようと思ってもできないはず。
中国に出入りする外国人が少なかった時代につくられた法規なので、サウナ等の娯楽施設に宿泊する外国人の存在を想定していないのでしょう。社会の現状に即していない時代遅れの規定になってしまっている。


新しい「出入国管理法」

そういうこともあってか、この「外国人入出国管理法実施細則」とその上位法規の「外国人入出国管理法」は今年の6月30日をもって廃止される。
7月1日からは、新しい「出入国管理法」が施行される。新しい法律では、これまで別々の法律で取り扱われていた中国人と外国人の入出国に関する規定が、ひとつの法律にまとめられる。

中华人民共和国「出境入境管理法」 (2012年6月30日公布 2013年7月1日施行)
http://www.gov.cn/flfg/2012-06/30/content_2174944.htm

この新しい「出入国管理法」の第39条に、外国人が中国国内で宿泊する場合の規定がある。

第三十九条
1.外国人在中国境内旅馆住宿的,旅馆应当按照旅馆业治安管理的有关规定为其办理住宿登记,并向所在地公安机关报送外国人住宿登记信息。

2.外国人在旅馆以外的其他住所居住或者住宿的,应当在入住后二十四小时内由本人或者留宿人,向居住地的公安机关办理登记。



もとの「外国人入出国管理法実施細則」の規定と比べてみると、

改正前の「外国人入出国管理法実施細則」は、一般民家での宿泊と、民家以外での宿泊を分けて規定していた。民家に宿泊するときには「24時間以内」に届ければよいという時間的猶予が設けられていた。一方、民家以外での宿泊にはこの「24時間」という時間的猶予はなかった。

新しい規定では、「民家か否か」という基準ではなく、「ホテル」に宿泊する場合と「ホテル以外」に宿泊する場合とで分けて規定している。
ホテルに宿泊する際は宿泊する際に登記が必要だが(第1項)、ホテル以外に滞在する場合には滞在開始から24時間以内に登記すればよいことになった(第2項)。
外国人臨時住居登記の用紙が常備されているのはホテルくらいなのだから、理にかなった改正といえる。

ホテルに併設されたサウナでの宿泊に適用されるのが第1項なのか第2項なのかは明記されていない。ただ、上に書いたように、常平のサウナのフロントではそもそも宿泊登記事務を扱っていないのだから登記のしようがない。そうすると、第2項が適用されるのかな。

そうであれば24時間の猶予があるので、たとえば午後11時にサウナに投宿して翌朝10時に出発した場合、サウナに滞在している時間内には、「24時間以内に登記しなかった」という法律違反は生じない。
後日登記されていないことが発覚したら、罰金の対象になるんだろうか。なるんでしょうね。ちなみに、罰金の額は「2000元以下」(第76条1項6号)とのこと。

もっとも、早々に出国してしまう旅行者の場合、普通はこれが事後的に発覚して問題になることは無いと思いますけど。
法律違反の可能性があるということは、なんとなく意識しておいた方がよいかも知れませんね。



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