日本はもともと少年の凶悪犯罪が多い国

ここ数日、テレビのコメンテーターが紋切り型に、

「昨今の地域コミュニティの消滅が、少年たちの暴走の原因になっている」
「ゲームのやり過ぎで、人の死に現実感が感じられなくなっている」

などというコメントをしゃべっていますが、なんでこんなことしか言えないんだろうか。
「この平和な日本で」なんて言う人がいますが、もともと日本は少年の凶悪犯罪が非常に多い国なのであって、最近になって凶悪事件が増えたわけではない。
地域コミュニティーの崩壊とかゲームとか、そういう話はあんまり関係ないのです。

そのあたりをシンプルにまとめたのがこの本。
宮崎哲也が絶賛していたので、図書館で借りて読んでみました。



内容は、日本の戦前の新聞から少年による凶悪犯罪のニュースを収集したもので、こういう事例がずらずらとならんでいます。

小学3年生の男児3人が、同級生を裸にし、木に縛り付けて火あぶりにしようとしているところを教師が発見。殺そうとした理由は、「鉛筆を貸さなかったから」。



17歳の少年が、神戸の映画館から7歳の女の子を連れ出し、諏訪山の林で腰ひもで絞殺、顔2カ所を刃物で切り、性器から腹にかけて10センチ以上を切り裂き、さらに腹に文字を刻み付けた。



大阪の17歳が、恩人の妻とケンカをし、カッとなってかなづちでめった打ちにして殺害した



こういう事例が無数に紹介されています。

著者によると、戦前の日本では、こういう記事は新聞では小さなベタ記事あつかい。
いまだったら2週間位ワイドショーで大騒ぎをするような事件ですが、当時はベタ記事にしかならない程度のありふれたできごとだった。、
少年・児童が頻繁に殺人などの凶悪犯罪や猟奇的事件を起こしていたのが、昭和時代前半までの日本だったわけです。

この本、単に事例を紹介していくだけなので、読み物としてはあまり面白くはないのですが、日本社会や日本人が実際にはどういうものであるかを認識する一助になるかと。

この本の著者が、かつてテレビに出演したことがありました。宮崎哲弥と水道橋博士がホスト役となり、毎回ゲストを迎えて話を聴く「博士も知らないニッポンのウラ」という番組。

動画がYoutubeにアップされていました。




日本人は平和主義でおとなしい民族だ、なんてよく言われますが、全然そんなことはないということがよくわかる。
思うんですが、事実はむしろその反対で、衝動的な暴力傾向が強い民族だから、その本来の性質を徹底的に抑えこまないと平和な社会が維持できない。そのために形成されたのが今の日本の「極めて秩序だった社会」ではないかと。

たとえば、ここ15年くらいの間に日本の公共交通機関では携帯電話が使えなくなった。
日本の電鉄会社が朝から晩まで「車内で携帯電話を使わないでください」と言い続ける理由について考えてみたことがありますか?

若い人は知らないと思いますが、日本で携帯電話の普及率が一気に高まった2000年頃、新聞の社会面には頻繁に、
「携帯電話のトラブルで乗客が重傷」
という記事が出ていた。
多いときは週に3回くらい、同じような記事を見た。
携帯電話の話し声がうるさいと文句をつけた人と、話をするのは自由だと反論する人との間で暴力沙汰になり、どちらかが眼窩骨折などの重傷を負う事件が、頻繁に発生した。

重傷を負い、かつ、たまたま新聞が取り上げた事件だけで週3回なのだから、重傷に至らない傷害事件や、警察に通報されなかった殴り合いや掴み合いは、そこらじゅうで発生していたでしょう。
そのたびに電車の運行に支障がでるので、2003年、電鉄業界は相談のうえ、電車内では携帯電話を使わないでくださいという統一した車内放送を流すことを決めた。

首都圏の鉄道17社、車内での携帯マナーの案内を統一
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/15449.html

日本に来た外国人が、よく、
「日本人は電車内では人の迷惑にならないように携帯電話を使わないようにしている。他人に対する気遣いやマナーがすばらしい。」
なんていいますが・・・
そんなにマナー意識が高い民族なら、朝から晩まで5分おきに「他のお客様の迷惑になるので携帯電話を使わないでください」と車内放送する必要はないでしょう。

昨年の夏頃、携帯電話の話し声が原因で乗客が重傷を負う事件が報道された翌朝、JRの車内放送で、
「車内で通話されますと大変危険ですので、携帯電話の使用はお控えください」
と言っていたのには笑いました。

そういえば、昔は、クラクション殺人事件なんてのがちょくちょくありました。
後ろを走る車にクラクションを鳴らされたことにカッとして、次の信号で降りて行ってぶん殴る、みたいな事件です。
後に、クラクションを鳴らさないように自動車教習所でしっかり教育するようになり、クラクションを鳴らさないという「マナー」ができあがり、その結果、今では日本の路上でクラクションを聴くことは滅多になくなり、それが原因の事件もほとんど見なくなりました。

こういう風に上からみんなの行動を統一してあげないと暴力沙汰になってしまうから、そういう「マナー」ができるわけです。
その辺の経緯を意識せずに、最終的に形成された「マナー」のみを見ているから、「他人に気を遣う、平和的でおとなしい民族」に見えるんです。

それはそれで結構なことで、外国での日本人の評判が良くなるのは嬉しいことですが、問題は、日本人自身もそういう風に思い込んでしまうこと。

日本人である以上、日本民族がどういう姿をしているか、外国人旅行者の表層的な理解のレベルを越えて、ちゃんと自分たちで理解したほうがよいと思う。

なぜ日本人は他国より秩序だった社会を作る必要があったのか、その理由を考えてみれば、今回程度の暴力事件が日本で発生することは別段驚くにあたらない。
もともとこういうもんなんでしょう。



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