春運

今頃中国は春運まっただなかだと思います。

中国のこの季節、僕は結構好きです。
日本の年末と同じで、気ぜわしいながら、なにかわくわくする気分も少しある。なにを期待しているのかわからないんですが。そんな雰囲気です。

人民日報ウェブ版(日本語版)の記事のこの一節、

今年も「春運(旧正月の帰省・Uターンラッシュに伴う特別輸送体制)」という年に一度の大芝居の幕が開いた。その内容は、「実家に帰省して新年を祝う」というシンプル極まりないもので、中国人ひとりひとりが「主役」となり、延べ36億2300万人が40日間にわたる「世界最大規模の人口移動」を演じる。
http://j.people.com.cn/94475/8515946.html


春運について書かれた記事の冒頭部分ですが、さらっと書いてあるけれど、なんだか良い文章だなぁ、と少し感傷的になってしまった。
いろいろな人のことを思い出しました・・・

ところで、この春運。メディアでは民族大移動だ、人の波だ、と大仰に書き立てますが、実際にその「大移動」に参加してみると、メディアが騒いでいるほどの非常事態でもないです。

まず、36億人の移動、ということですが、そのうち鉄道輸送分は延べ2億5800万人程度。
あの広大な中国の全土で、40日間で、この程度です。

ちなみに、中国の長距離鉄道の総延長は2013年に10万キロを越え、日本のJR(約2万キロ)の5倍以上です。
日本のJRの年末年始10日間の新幹線・特急急行の輸送客数は1200万人程度。
単純計算すると、キロ数あたりの1日あたり旅客人数は日本も中国もそうかわりません。

鉄道以外の交通機関の利用者(延べ30数億人)は、比較的近距離(数キロ~数百キロ程度)をバス移動しているのだと思います。この「延べ人数」には最寄りの鉄道駅から農村までの往復移動なども含まれます。
中国では都市間バスは正規非正規あわせて無数にあるので、この程度はなんとか捌けてしまいます。

日本では短い期間にみんな一斉に動きますが、中国では日本ほど人々の社会生活が均質化されていないので、早めに帰省したり遅めに都市に戻ったりする人も多いです。だから鉄道の年末年始特別ダイヤの期間が40日間に設定されています。
人が動く期間が長いので、混雑は分散されます。


実際に見てみます。

オンラインで汽車の切符を検索してみると、

広州 → 永州(湖南省)

という、もっとも混雑しそうな典型的帰省ルートのチケットの状況は、


chunyun1.jpg


1月30日(大晦日)の硬座のチケットが今でも入手可能です。
その前の数日間は満席になっていますが、大晦日の汽車に空き席があることから考えて、おおむね何とかなっているのだと思います。


次に、飛行機の帰省チケットの状況を見てみると。

広州 → 貴陽(貴州省)

のエアチケットの状況は、

chunyun2.jpg

ガラガラです。

中国では、国内線のエアチケットにも割引運賃があり、ほぼすべての便に数ランクの割引料金が設定されています。
広州→貴陽の定価は960人民元。
上の検索結果を見ると、定価で売られているチケットはありません。

大晦日の便は380人民元。つまり6割引です。
その前の数日間はややタイトですが、それでも定価より安く購入できます。
つまり、かなり席に余裕がある、ということです。


実際にこの時期の中国を旅行した感覚としても、メディアが騒ぐほどの状況はないように思います。
ニュース映像は、ごったがえす駅の様子を映し出しますが、あれはそういう撮り方をしているわけで。

沖縄の米軍基地前のデモの報道と同じです。ニュースの映像では数百人のデモのように見えるけど、実は数十人しかいないとか・・・
そこまででっち上げではないにしろ、実際に行ってみれば、十分普通に行動できる状況です。

いざとなれば一晩立っていく(あるいは床に座っていく)覚悟があれば、どこにでも行けます。

年末年始は女の子が里帰りしてしまい遊べないとお嘆きの貴兄は、この機会に普通の中国旅行をしてみてはいかがでしょうか。
連休中はビジネス客が激減するので飛行機のチケットがとても安くなります。

たとえば上に紹介した貴州省なんてどうでしょう。
広州空港から往復1万円でお釣りがきます。
貴州省というと田舎のイメージがありますが、省都の貴陽は大都市ですよ。
実際に行ってみると、中国の内陸都市に対するイメージががらっとかわること間違いなしです。


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