中国の女優 高圓圓

高圓圓(ガオ・ユエンユエン)は、中国の人気女優です。
日本での知名度は低いですが、僕は中国人女優のなかで一番好きです。

gaoyuanyuan10.jpg


1979年の北京生まれ。

20歳の頃は南沢奈央にそっくりでした。

gaoyuanyuan1.png
(「17歳的単車」(邦題「北京の自転車」) 2000年 より)

この2000年の「北京の自転車」は、日本でもDVDが発売されています。TSUTAYAの新宿店にレンタルの在庫があります。
この頃の高圓圓は、女優よりもCMやファッションモデルの仕事が中心で、本人も本気で女優を目指す気があるのかないのか、セリフも棒読みです。

しかしその4年後、2004年の初主演映画「青紅」では、名演とはいえないまでもちゃんと芝居ができるようになりました。当時24歳。高圓圓はこの映画で主人公の女の子「青紅」を演じています。
レイプされて気がふれた少女、なんていう難しげな演技も無難にこなしています。

gaoyuanyuan8.jpg


この映画は、2005年のカンヌ映画祭で審査員賞を受賞しました。
http://www.festival-cannes.com/en/archives/ficheFilmPhotos/id/4279993/year/2005.html

映画の冒頭に、時代背景の説明のテロップが入ります。

1青紅

日本人がわかるように大幅に補足しつつざっくり説明すると、

中国では毛沢東の時代に、アメリカやソ連との戦争を想定して、戦場になりやすい沿岸部や北部の大都市にあった工場を内陸山間部に疎開させました。これにともない、多くの都市住民が、上海、北京、ハルビンなどの大都市から、貴州省などの貧困地域に移住して、開拓に従事しました。この毛沢東時代の内陸開発政策は、「三線建設」と呼ばれます。
当時は社会主義の理想に賛同する中国人が多かったので、自ら志願して都会の便利な生活を捨て、貧困地域の開拓に参加する人も多かったのです。
その後、市場経済を導入した改革開放の時代となり、沿海都市部が一気に豊かになっていく一方で、「三線建設」に参加した人たちは内陸の貧困地域に取り残される形になりました。中国では農村部から都市部への戸籍の移動は制限されているので、勝手に故郷の大都市に戻ることはできないのです。
この映画の主人公の少女「青紅」の家庭も、貴州省から故郷の上海に帰ろうと画策しますが、叶いません。建国以来続く内政の混乱に翻弄される中国の庶民の困惑やあせりが、この映画の背景にあります。

この映画「青紅」は、僕がもっとも好きな中国映画のひとつです。なぜなら高圓圓が一番チャーミングに撮れているから。

現代中国に興味をもつ人なら、面白く見れる内容だと思います。
残念ながら日本語字幕付きはないですが、以下のサイトで無料で全編見れます。

「青紅」http://www.letv.com/ptv/vplay/2182743.html
(冒頭に約1分の中国語の広告が入りますが、無視すればOK)


中国語の勉強にも向いている映画です。
中級レベルの人ならば、「こういう言い回しができるんだ」と感心する会話表現が満載です。

**

その他、日本語で見れる高圓圓出演作品としては、

・ ジャッキー・チェンの「プロジェクトBB」(香港 2006年)

・ 中国を舞台にした韓国の恋愛映画「君に微笑む雨/好雨時節」(2009年)

などがあります。

韓国映画の「君に微笑む雨」は、ちょうど韓流ブームの頃の映画なので、日本でも公開されました。「米国留学中に出会った男女が10年後に偶然再会して・・・」という、いかにもな韓流臭が気になりますが、高圓圓の唯一の日本語で見れる主演映画なので、ファンとしては見逃すわけにはいかないです。TSUTAYAの韓流コーナーにおいてあります。
韓流がめでたく終了した今、早々に店頭からなくなる可能性があるので、興味のある方はお早めに。

中国語版はYoutubeに全編あがっています。
https://www.youtube.com/watch?v=k5RrtrNHeU0

**


さて、ここから先は書くかどうか迷ったのですが、せっかくなので書いておきます。

高圓圓の最近の出演作に、2009年の中国映画「南京!南京!」があります。
中国本土の映画ですが、欧州の映画祭にも出品され、いくつかの映画賞を受賞しています。

gaoyuanyuan12.jpg


日本軍の南京攻略を題材にした作品で、日本兵による虐殺や強姦行為など、いわゆる「南京大虐殺」を生々しく描いています。高圓圓はこの映画に準主役級で出演しています。

中国政府の肝いりで制作された映画ですが、同時期に封切られた米国映画「トランスフォーマーズ」に観客動員数で及ばなかったとのことで、愛国心の欠如を嘆く中国メディアの論評をどこかで読んだ覚えがあります。

日本では商業ベースの上映はされていませんが、いわゆる市民運動家の方々が主催して1日だけの自主上映をしたほか、日本語字幕をつけてYoutubeにアップしている方がいらっしゃいます。もしも興味があれば、「中国ではこういうものを作っているんだな」と知る意味で、ちょっと見てみるとよいかも知れません。

https://www.youtube.com/watch?v=l544JtY_kC0

僕は個人的にはあまり好きではないです。作品としてもよく出来ているとは思わないし。
日本兵ものの中国映画としては、姜文の「鬼子来了」(鬼がきた)あたりのほうがずっとよく出来ていると思います。まあ、制作の目的がまったく違うので、比べても意味が無いのですが。


関連記事
ベトネベートスカルプ