少女地獄

タイトルの「少女地獄」は、夢野久作の短編小説の題名から。
昭和11年(1936年)に発表されたこの小説のあら筋は、

「可憐なる美少女、"姫草ユリ子"は、すべての患者、いな接触するすべての人間に好意を抱かせる、天才的な看護婦だった。その秘密は、彼女の病的な虚言癖にあった。一つのウソを支えるために、もう一つの新しいウソをつく。無限に増幅されたウソの果ては、もう、虚構世界を完成させるための自殺しかない。そしてその遺言状もまた……。」(文庫裏表紙より)




この古い小説の主人公姫草ユリ子の病的な虚言癖が、今話題のSTAP細胞の小保方晴子さんのイメージと重なるんです。

実はここ1ヶ月ほど、STAP細胞に関するネット上の議論があまりに面白く、毎日議論の筋を追うことに夢中になっておりました。

昨日の理研の記者会見で、「STAP細胞」のいかがわしさがようやく一般に広く知られるところとなりましたが、ネット上では2月中旬から一貫して否定的な見方が優勢でした。
研究者のブログやツイッター、2chの理系板を中心に検証作業が進められてきて、2月下旬にはほぼ捏造説に見方が固まっていました。

それでも理研はウヤムヤにする方向で工作をしていたわけですが、先週日曜日(3月9日)の午後に、論文捏造告発サイトの管理人が小保方さんの博士論文を国会図書館から入手し、そこに掲載された顕微鏡写真がNature論文に転用されていることが公になり、ようやく理研も覚悟を決めるに至りました。そして昨日の記者会見になったわけです。

捏造告発の舞台となった11jigenさんの検証サイトはこちら、
「小保方晴子のSTAP細胞論文の疑惑」http://stapcells.blogspot.jp

具体的な捏造(と思われる)の内容は、上記サイトを参照いただくとして、この件でとにかく印象的なのは小保方さんの特異な人格でした。

1月末の発表会見で、多くのマスコミの前に立ったときの高揚した表情を思い出します。
ご自分では虚偽の内容が含まれていることを知っているはず。そんな論文の発表で、どうしてあんなに晴れやかに笑えるのだろう・・・怖いです。心の闇を感じます。





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小説「少女地獄」の姫草ユリ子は、勤務先の病院の経営者やその奥さんをチャーミングな人柄で魅了し、東北の裕福な旧家の出身であるという虚言を信じさせ、虚構の世界を広げていきます。
小保方さんが世間を欺いた今回の事件の背景にも、彼女のキャラクターの魅力に幻惑された人々の構図がありました・・・人物相関図はこちら、


stappeople.jpg
(中日メディカルサイトより)

デタラメな博士論文を通した指導教官。「困ったので明日から行ってもいいですか」と甘えられ、ろくに研究実績もない彼女を理研に紹介した先輩研究員。有望な研究をしていると信じて任用し、多額の研究費を振り当てた理研の幹部。

今になってみれば、小保方さんが研究職にふさわしい能力を持っていないことは明らかです。

どうして皆がこうも簡単に一人の女の子に手玉にとられたのか・・・
とりたてて美人ではないものの、中年男性を自分の支持者にしてしまう天賦の吸引力がある・・・そういう女の子って確かにいます。
人物相関図を見ると、彼女以外の登場人物は全部中年男性ですね。
もしもこのなかに一人でも女性の研究者が入っていたら、こういう結果にはならなかったような気がする。

思うに、この人は、研究者でなく生命保険の外交員になって役所や会社を回ったら、「力になってやりたい」と肩入れする中年サラリーマンから契約を取りまくって、カリスマ外交員として年収数千万円レベルになったんじゃないのかな。

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2chの生物板に、こんな書き込みがありました。

571 2 名前: 名無しさん@13周年 Mail: 投稿日: 2014/02/17(月) 19:44:25.38 ID: D/WjgmnCO
この業界に一定数いる「不思議ちゃん」と
それが世慣れしていない教授先生方をメロメロにしていく時の
破壊的結果を何度も目撃した人間なら
小保方ちゃんの独特のキャラクター知った時点で
嫌な予感がしまくってると思うよ
(俺は「天使」という決して誉めていないあだ名を聞いた時ヤバいと感じた)

大学や研究機関って本当に凄い「逸材」がゴロゴロおるんよ・・
で、そいつが絡むと全部の道理が引っ込み無理が通る
その「不思議ちゃん」のまま教授まで行く御仁もいるが
その場合周り(同僚や学生や事務方)に何十年も迷惑をかけ続ける

俺の妄想だったらいいんだけどね


2月17日の時点でこの指摘をしていたのは慧眼ですね。

姫草ユリ子や小保方晴子は日本の社会にたくさんいるんでしょう。その多くは虚構が発覚しないまま棲息し、多くの被害者を生んでいく。おそろしや。

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虚構の天使の小説「少女地獄」は、作者の夢野久作が1936年に逝去しているので既に著作権が切れており、青空文庫で無料で読めます。結構面白いので、電車での暇つぶしなどにいかがでしょうか。

少女地獄(青空文庫)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000096/files/935_23282.html



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