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日中容疑者引渡条約で、あの人たちはどうなる?

日本と中国の間で、犯罪容疑者の引渡し条約を締結する方向で協議が進んでいるらしい。


≪日中 容疑者引き渡し条約締結の協議再開へ≫
(NHKオンライン 6月2日 )

日中両政府は、犯罪の容疑者の身柄を相互に引き渡すための条約の締結に向けた実務者協議を、およそ5年ぶりに、3日から中国で行うことにしており、日本側は、日本から中国に逃亡する容疑者の増加を踏まえて、条約を早期に締結したい考えです。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150602/k10010100011000.html



このニュースを読んで、ぱっと頭に浮かんだのはこの方々。

wanted5.png
(インターポールHPより)

中国政府がインターポールを通じて国際指名手配中の3人の日本人の容疑は、

THE CRIME OF ARRANGING FOR ANOTHER PERSON TO ENGAGE IN PROSTITUTION

売春あっせんです。

2003年9月16日に広東省で起きた日本人数百人による集団買春事件は、当時、中国の各種メディアで大々的に扱われ、
「史上最大の売春事件」
と報じられました。
「日本人がわざわざ集団で中国にやってきて中国人女性を買春した」
ということで、反日世論も大いに盛り上がりました。

大阪吹田市の住宅リフォーム会社「幸輝」は、この日、社員旅行で中国広東省珠海市を訪れました。参加者は約300人。
社員旅行の幹事は旅行に先立って現地を下見し、宿泊予定のホテル内のクラブの経営者に女性の調達を依頼済みでした。当日は約300名の女性が集まりました。地元の珠海だけでは人数が足りず、中山やシンセンからも女性を呼んだとのことです。

夜になり、女性300名をコンパニオンとしてパーティーに同席させたうえ、各社員がホテルに連れ帰って買春した、というこの事件。現地警察の発表によると、買春に及んだ社員は少なくとも185人であったとのこと。

もともとこの会社、社員旅行先としてサイパンを予定していたのですが、サイパンでは300人の女性が調達できないことがわかり、直前になって旅行先を中国に変更したという経緯があり、つまりはあからさまにセックス目的の社員旅行だったわけですね。

中国政府はこの件で北京の外交部を通して日本政府に抗議しました。日本側はこれを受けて、当時の福田康夫官房長官が会見し、真相解明を約束しました。

外務省による調査を経て、外務副大臣が記者会見をひらき、会社として買春を組織したわけではないとの会社側の主張を紹介したうえで、
「海外で女性の尊厳を傷つける行為が行われたものだとすれば極めて遺憾なことである」
とコメントしました。

  外務副大臣 会見記録(平成15年10月9日(木) 11:40~)

民間人による売買春が日中間の外交問題に発展した珍しい事件でした。

それまで風俗解放区であった珠海蓮花路近辺に頻繁に取り締まりが入るようになったのはこの事件がきっかけです。北京からよほど叱られたのか、広東省の公安トップがしばらく珠海に滞在して売春取締を陣頭指揮しました。

蓮花路から粤海東路まで路上にあふれていた数百人の女の子が、この事件をきっかけに十分の一以下に減りました。歩歩高ホテルの2階に集まっていた女の子らも、追っ払われてしまいました。
それ以後、かつて夜ごと沸騰していた蓮花路のカオス的熱気は二度と戻らず、一帯の風俗産業は衰退の一途をたどったのでした。

売春あっせんに関与した13人の中国人は起訴され、無期懲役を含む重い処分を受けました。
さらに中国政府は、「幸輝」の社員3名をインターポールを通じて国際指名手配しました
インターポールのウェブサイトには12年たった今も氏名や手配写真が公開されています。

容疑者引き渡し条約で彼らはどうなる

最初の話に戻りますが、日中間で容疑者引き渡し条約が締結されたら、彼らはどうなるんだろう。

この3人はたまたま社員旅行の幹事だっただけで、普段からポン引きを商売としていたわけではなく、身柄を引き渡されて刑罰に処されるのはあまりにかわいそうです。

中国との条約がどのような内容になるかは、これまで日本が他国と締結した容疑者引渡条約の内容が参考になります。日本はこれまで韓国および米国と容疑者引き渡し条約を締結しています。

たとえば韓国との条約を見てみると、

犯罪人引渡しに関する日本国と大韓民国との間の条約
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/pdfs/t_020419.pdf

引き渡しの対象となる犯罪は懲役1年以上の法定刑のあるものに限定されていますが、日本の売春禁止法では売春のあっせんは二年以下の懲役と定められているので、この要件には該当します。

ただし、第六条に、

被請求国は、この条約に基づいて自国民を引き渡す義務を負うものではない。もっとも、被請求国は、その裁量により自国民を引き渡すことができる。

とあるので、日本国籍の容疑者を引き渡すか否かは、日本国政府の判断によることになるわけですね。3人の運命は日本政府の判断に任されるわけです。

このケースで日本政府が引き渡しに応じることはないでしょうが、ご本人としては気が気じゃないはずで、たまたま社員旅行の幹事だったばかりに、お気の毒でした。世の中もっと悪い奴はいっぱいいるのにね。

◇◇

話はそれますが、インターポールで国際指名手配されている日本人は現在20名で、そのうち一番多い犯罪は「こどもの誘拐」です。被手配者6名の全員が女性なので、おそらく国際結婚で産んだ子供を本国に連れ帰ってしまい、元の夫から刑事告訴されたというパターンでしょう。
その他は文書偽造や詐欺、違法ギャンブル経営、反トラスト法違反などで、いわゆる粗暴犯は相対的に少数です。
国際指名手配という言葉からはテロリストなどの獰猛な極悪人(あるいはルパン3世とか)を想像しますが、日本人に関して言えば、必ずしもそういうわけではないみたいです。

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